1)E4Bコンディショナルノックアトマスの作製 これまでの予備的な研究において、E4Bノックアウトマウスを作製したところヘテロ接合体では胎生致死であった。したがって、神経特異的なノックアウトマウスを作製するためにCre-1oxPシステムを用いたE4Bコンディショナルノックアウトマウスを作製した。E4Bを神経特異的に欠損したマウス(E4B CKO)は正常に発生したが、20週令までにほとんどが突然死を起こした。突然死の原因として癲癇発作が疑われたが、実際、癲癇誘発剤に対する感受性は野生型マウスと比較して明らかに高かった。 2) E4Bトーンスジェニックマスの作製 神経組織広汎に発現するプリオンプロモーターを用いてトランスジェニックマウスを作製した。E4Bトランスジェニックマウスは野生型個体と比較して、有意な体重増加が認められ、高度に脂肪が蓄積する肥満マウスとなった。 3) ataxin-3トランスジェニックマスの作製 神経組織広汎に発現するプリオンプロモーターを用いてMyc-ataxin-3(79Q)を発現するマウスを作製したが、神経変性疾患様の病態は観測されなかった。これは全長のタンパク質を発現させたためであると考えられた。そこで、Myc-ataxin-3(155Q)トランスジェニックマウスを作製を試みている。 4) 高感度プロテオミクスを用いたE4B基質分子の探索 超高感度nanoLC-タンデム質量分析計と安定同位体標識法を組み合わせることで、大規模なタンパク質の発現定量解析を行い、従来の電気泳動ベースの方法ではとらえることができなかった微量タンパク質の変動を見出した。また、E4Bの基質探索のための他の方法として、in vitroユビキチン化アッセイを用いたE4B依存的なユビキチン化タンパク質の検出システムを構築した。今後、これらの異なる手法で得られたE4B基質候補分子のリストを総合的に判断し、絞り込みを行ったうえで詳細な解析を進める予定である。
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