1. 成体脳脳室下帯における強制発現によるDiversin蛋白質の機能解析 : Diversin蛋白質は神経前駆細胞と新生ニューロンで発現する。そこでレトロウイルスを用いて、野生型Diversinを脳室下層の細胞において強制発現させ効果を調べた。その結果、脳室下帯で神経前駆細胞の数が減少し、新生ニューロンの数が増加した。また、脳室下帯で生じて嗅球へと移動・到達する新生ニューロンの数が増加した。このことから、Diversinは、b-catenin蛋白質分解を介して新生ニューロンの分化促進させる機能を持つことが示唆された。また、Diversinを構成するドメインのうち蛋白質結合ドメインであるPDZドメインを欠失させた変異体では、分化促進効果の一部が失われた。このことから、Diversin蛋白質はPDZドメインを介して神経前駆細胞から新生ニューロンへの分化を促進することが示唆された。 2. 機能阻害によるDiversin蛋白質の機能解析 : Diversinの機能を阻害するために、Diversinに対するshRNAを設計し、細胞レベルでその効果を確認した。このshRNAを上記と同様の手法を用いて脳室下帯に導入し、Diversinのノックダウン実験を行ったところ、新生ニューロンの分布に変化が生じた。この結果は、Diverslnがb-catenin蛋白質分解を介して新生ニューロンの分化過程に関与していることを示唆している。
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