脊椎動物をはじめとする多くの動物にとって、内、中、外胚葉の3層からなる構造は、体を形作るための基本構造といえる。この3胚葉構造を作る重要な形態形成運動が原腸形成運動である。両生類胚、魚類胚などの原腸形成運動においては、中胚葉組織が収斂伸長運動とよばれる運動により外胚葉と内胚葉の間に入り込み、伸長しながら移動する。この過程では、細胞接着や細胞運動の制御が重要であると考えられる。そこで、アフリカツメガエルの初期胚を用いて、細胞外基質とアクチン細胞骨格をつなぐ接着斑の構成分子パキシリンに注目して解析を行った。まず私達は、収斂伸長運動を行っている中胚葉細胞でも接着斑が形成されること、また、パキシリンが原腸形成運動い必須なことを証明した。さらにパキシリンはユビキチン化されており、それが非古典的Wntシグナルの阻害により低下することから、非古典的Wntシグナルがユビキチン化を制御しているがわかった。非古典的Wntシグナルがユビキチン化の制御に関与していることはこれまで報告されてかった知見である。そして、パキシリンのユビキチン化と分解の制御にかかわる新規分子XRNF185を同定し、この分子がパキシリンの分解をポジティブに制御していること、その作用機序として、パキシリンとプロテアソームの両方に結合してパキシリンの分解を促進することを明らかにした。さらにイメージングの技術を用いて、接着斑でのパキシリン分解が原腸形成における細胞運動の制御に重要であることを示した。
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