本研究の目的は、TGF-β/BMPシグナルを調節するユビキチンシステムをin vivoで可視化し、その薬物や核酸医薬に対する反応性を生体で評価することである。具体的には、細胞の中で、1)基質(TGF-β/BMP レセプターとシグナル伝達分子Smad)とそのユビキチンリガーゼ(E3)であるSmurfl/2、Arkadiaの結合、2)基質のユビキチン化を、SplitGFP(蛍光)とSplitルシフェラーゼ(発光)の系を用いて検出し、さらに、それを生きているマウスの中で解析することで、ユビキチン化の時空間的シグナル制御とその薬剤に対する反応性を明らかにする。さらに、ユビキチンリガーゼの生理的病的意義やその制御メカニズムを明らかにする。 本年度は、SplitGFPのシステムを用いてTGF-β/BMPのシグナル伝達分子SmadとHECT型E3リガーゼSmurfl/2およびRING型E3リガーゼArkadiaの結合を細胞レベルで可視化することに成功した。それぞれの結合には、Split GFPと目的蛋白の間のリンカー部分の長さが重要なことを明らかにし、その指摘条件を探った。一方、ユビキチンリガーゼの制御メカニズムについては、HECT型E3リガーゼSmurflによるSmadのユビキチン化・分解がイソメラーゼPinlによって制御されていることを明らかにし、さらに、Smurflがファミリー分子Smurf2によって分解制御を受けることを解明した。また、RING型E3リガーゼArkadiaが筋分化の制御にか係っていることを示した。
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