ユビキチン・プロテアソーム系による選択的タンパク質分解は、様々な生体反応において重要な役割を担っている。この系において最も重要な分子は、分解を受けるべく標的タンパク質を見分け、それにタイミング良くユビキチンを連結させる酵素'ユビキチンリガーゼ'であり膨大な数存在することが知られている。その中で最も良く研究されているファミリーのひとつSCF型ユビキチンリガーゼの基質認識ユニットのF-boxタンパク質はヒトでは約70種存在するが、多くのF-boxタンパク質の標的分子は未知である。本研究では、糖鎖を認識するF-boxタンパク質Fbs1と相同性が高いF-boxタンパク質のうち、糖鎖結合能のないFbxo44とFbxo17を中心に基質の探索を行うことを目的とした。昨年度はFbxo44のオルタナティブスプライシングフォームのFbxo44bがビテロネクチン様カルボキシペプチダーゼ(CPVL)に結合することを見出した。本年度はこれに焦点を絞り、Fbxo44bとCPVLの関係を詳細に検討した。その結果、Fbxo44bは細胞質に存在するペプチドNグリカナーゼ(PNGase)により糖鎖が取り除かれた蛋白質を特異的にユビキチン化するこれまでとは異なる新しいタイプの小胞体関連分解に関わるリガーゼを形成していることを明らかとした。Fbxo44a及びFbxo17に関しては、引き続き基質の解析を継続し、その機能の解明を行っている。
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