研究概要 |
本年度は、以下の結果を得た。(1)リガンド非依存性応答"におけるGPR4の役割:我々はGPR4の過剰発現がSREプロモターを活性化することを観察した。そしてこの応答が、細胞外液のわずかなpH変化に基づくことを見出した。さらにそのシグナル伝達系を、各種ドミナントネガティブ体、特異的薬剤、毒素、siRNAなどを用いて解析した。その結果GPR4は、複数のG蛋白を介して多様なシグナル伝達系(cAMP系、Ca/イノシトールリン酸系、Rho系)に関与することを見出した。この結果は、GPR4が多様な生体応答に関与している可能性を示唆する。(2)アシドーシスと血管機能:ラット、マウス大動脈平滑筋の張力は、細胞外pHの低下により低下する。この弛緩作用はインドメサシンによって減弱する傾向が観察された。しかしながら、その程度は弱い。(3)好中球の感染防御系におけるTDAG8の役割:好中球でのスーパーオキシド(O2-)産生は細胞外pHを低下すると、著明に抑制される。TDAG8/の関与を、TDAG8ノックアウトマウス由来の好中球を用いて解析した。その結果、ノックアウトマウス由来の好中球でO2-産生の抑制が解除する傾向が観察された。しかしながらその程度は弱い。(4)骨組織におけるOGR1ファミリーの関与:骨芽細胞は、細胞外pHの低下に伴いPGE2を産生する。MG63細胞におけるOGR1受容体ファミリーの関与と、その細胞内シグナル伝達系の解析を、受容体に対するsiRNA,ドミナントネガティブ体,特異的薬剤を用いて行った。その結果MG63では、OGR1受容体/PGE2産生系を介して、cAMP濃度が上昇することを見出した。
|