交付申請書に記載の研究計画にしたがって、マウスの紫外光感受性視物質(マウスUV)において高い光感受性に関与することが明らかとなった113番目のグルタミン酸残基(E113)の可視光感受性視物質(ウシロドプシン)の光異性化における役割を検討するため、以下の実験を行った。 (1) ウシロドプシンの高い光感受性をもたらすアミノ酸残基の特定 ウシロドプシンのE113Q変異体の光感受性が低下したことにより、可視光感受性視物質においてもE113が高い光感受性に関与することが明らかとなった。さらに、E113をそれ以外の19種のアミノ酸に置換した一連の変異体を作製しそれらの光感受性を測定した結果、全ての変異体で低下が見られたため、この位置はグルタミン酸であることがロドプシンの高い光感受性に必要であることが分かった。 (2) グルタミン酸の位置を変えたロドプシンにおける光感受性の比較 E113はロドプシン類においてプロトン化シッフ塩基の対イオンとして機能しているが、このグルタミン酸の位置を近傍で変化させても対イオンとして働く場所がいくつか知られている。そこで負電荷の位置が光感受性に及ぼす影響を検討するために、グルタミン酸残基の位置を変えた変異体を用いて光感受性を測定した。その結果、94番目や117番目などの位置にグルタミン酸残基の位置を変えた場合でも113番目の場合と同程度の光感受性を示すことが分かった。
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