研究課題/領域番号 |
19045023
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉村 恵 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10140641)
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研究分担者 |
古江 秀昌 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (20304884)
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キーワード | TRPV1 / TRPA1 / 熱感覚 / 冷感覚 / in vivo パッタクランプ / 伝達物質放出 / 脊髄後角 / 微小EPSC |
研究概要 |
皮膚の温度変化は自由神経終末に発現した様々なTRPファミリーによって感知され脊髄後角に伝えられる。これらのTRP受容体は末梢のみならず脊髄内の中枢側にも発現している。脊髄内が43℃以上の温度にさらされるとは考えにくく、またカプサイシンが働くとも考え難い。しかしながら電位依存性チャネルや化学受容体の部位特異的発現を考慮すると、中枢側に発現したTRPチャネルも何らかの生理的役割を果たしていると考えるのが妥当であろう。そこで脊髄スライスに後根を付した標本とin vivo標本を用い、中枢側の温度受容体、特に熱受容体のTRPV1と冷受容体であるTRPA1を対象に、それらの受容体が生体内でどのような役割を果たしているか検討を行った。脊髄スライス標本にTRPV1の作動薬であるカプサイシンを投与すると微小EPSCの頻度の増大が見られた。また、カプサイシンに反応した細胞においてTRPA1作動薬(Cinnamaldehyde:CA)を投与すると、同様に微小EPSCの頻度が増大した。これらの結果はC線維中枢側末端にTRPV1およびTRPA1受容体が発現し、Ca^<2+>の流入により伝達物質の放出を増大させている可能性を示唆する。次にin vivo標本を用い脊髄後角細胞から記録を行い、皮膚に熱および冷刺激を加え、如何なる応答が誘起されるかを調べた。その結果、カプサイシンで微小EPSCが増大した細胞でも熱刺激によって何ら変化は見られなかった。これらの受容体が如何なる物質または状態で活性化されるかは不明であるが、今後、ケミカルメディエーターによる感作によって温度閾値が変化する可能性、化学物質または様々な代謝産物による活性化などに焦点を合わせ検討していく。
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