研究課題/領域番号 |
19051006
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10113424)
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研究分担者 |
福井 賢一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60262143)
高井 和之 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教 (80334514)
宮崎 章 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教 (40251607)
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キーワード | ナノグラフェン / 磁性 / 磁気機能 / ナノ炭素 / π電子 / ナノポア / 多孔性炭素 / 電荷移動力 |
研究概要 |
ナノグラファイトの3次元無秩序ネットワークからなる多孔性炭素である活性炭素繊維を用いて以下の実験を行った。(1)活性炭素繊維のナノポアヘのHCl、HNO_3の吸着に伴うエッジ状態スピンの挙動の変化を調べた。酸化力のないHClの吸着では、吸着によって凝集したHCl分子の機械的な力でナノグラファイトが押しつぶされ、エッジ状態スピン間に強い反強磁性相互作用が働くことが明らかとなった。酸化力のある濃HNO_3,の吸着では、最初、HNO_3分子はナノグラファイト最表面のナノグラフェンに吸着して電荷移動相互作用をし、次のステップでは、ナノグラフェン・シート間にHNO_3は入り込んで電荷移動を行う。その結果、HNO_3吸着に伴う2段階のエッジ状態スピン濃度の変化が観測された。薄HNO_3の吸着では最初ナノグラファイト最表面のナノグラフェンとの電荷移動が起こり、その後、共存する水分子によりHNO_3はブロックされてナノグラフェン層間には入り込むことができず、HCl同様にナノポアヘの凝集分子(HNO_3,H_20)による機械的か力が磁性の変化をもたらすことが明らかとなった。 (2)活性炭素繊維のナノポアヘKの吸着を行った。K原子には中性の状態でナノポアに収容されるものと、ナノグラフェン表面で電荷移動相互作用を及ぼすものの2種類存在することが明らかとなった。過剰にK原子を吸着すると中性種が増加し、これは過熱脱気により可逆的に減少する。磁化率、X線小角散乱の実験から、中性K原子はナノポア中で反強磁性クラスターを形成していることが明らかとなった。極低温トンネル顕微鏡を用いて、グラフェン端の電子状態を調べた。この結果、高精度での原子像が観測され、3×3超格子とともに、6回対称の超格子が見出された。6回対称の超格子では、局所状態密度の輝点に3回対称の局所構造が存在することが明らかとなった。
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