研究課題
B-1細胞と呼ばれる細胞は、腹腔や胸腔に局在するユニークなB細胞で、自己反応性抗体の産生など自己免疫疾患との関連が指摘されるとともに、慢性リンパ性白血病の起源細胞としても注目されている。通常B細胞(B-2細胞)とは異なり、胎児肝臓由来であることが示されているが、このような自己反応性B-1細胞がどのようにして胎児肝臓で選別、維持されるのかについてはほとんどわかっていない。腹腔B-1細胞では、フォスファティジールコリン(PtC)に反応性を示すクローンの頻度が極めて高く、それらのB-1細胞で使用されている免疫グロブリン重鎖(H鎖)はVH11セグメントを使用したものが非常に多い。さらにそのCDR3領域をみると、JH1セグメントを使用したものが圧倒的に多い。そこで、本年度の研究では、腹腔B-1細胞に発現するVH11-μH鎖でのJH1バイアスがB細胞分化の過程のどの時点で確立されるかを調べた。JH1バイアスは新生児肝臓のB細胞においてもすでに認められ、さらにその前駆細胞である小型プレB細胞においてもすでにJH1バイアスが認あられた。すなわち、抗原を介するクローン選別がおこる以前にすでにJH1バイアスが確立されていた。一方、大型プレB細胞ではまだJH1バイアスが認めちれないことから、大型プレB細胞から小型プレB細胞への移行段階でプレB細胞レセプターを介する選択を通して、自己反応性に結びつくJH1バイアスが形成されることが強く示唆された。自然免疫系の細胞に関して、本年度私たちは、好塩基球の生体内での新たな役割を明らかにすることができた。すなわち、従来から知られていたマスト細胞・IgE・ヒスタミンが関与するアナフィラキシー発症機構とは全く別に、好塩基球・IgG・血小板活性化因子が主役を演じる新たなアナフィラキシー発症機構が存在することが明らかとなった。
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