研究課題/領域番号 |
19100009
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大平 充宣 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50185378)
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研究分担者 |
中井 直也 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90324508)
河野 史倫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90346156)
佐古田 三郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00178625)
西本 憲弘 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80273663)
大海 忍 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (20160046)
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キーワード | 骨格筋 / 脳 / プロテオーム / 遺伝子 / 再生 |
研究概要 |
発育期のラット後肢を懸垂し、抗重力筋活動を抑制した場合、脳に顕著なタンパク質発現の抑制が認められた。筋の発育抑制、不慮の事故や疾病による損傷は、当然筋運動を抑制することになり、脳への影響が危惧される。そこで本研究は、(1)骨格筋の再生機構および再生促進処方の解明、(2)身体活動の抑制(運動不足)が、脳の機能およびタンパク質発現等に及ぼす影響の解明、および(3)退化した脳機能等は運動の促進等で回復するのか否か?適度な処方は?等の解明を目指して本研究が計画された。 本年度は、筋再生促進策の解明を目指して、C2Cl2細胞の培養液にIL-6またはその受容体阻害剤であるMR16-1を添加した場合の細胞の反応、マクロファージコロニー刺激因子欠損であるop/opマウス骨格筋に薬物投与またはクラッシュによる損傷を起こした場合の再生におけるマクロファージの役割を追求するために、他のマウスで増やしたマクロファージを腹腔内投与移植した場合の筋の反応等の追求に着手した。 筋活動レベルが脳機能に及ぼす影響の追求には、ラットにおける後肢筋由来の感覚神経(L4-5)切除の影響が脳各部位におけるタンパク質発現に及ぼす影響、鉄欠乏性貧血ラットにおける(回転ケージを利用した)自発的運動量および迷路水槽を用いた学習能と脳タンパク質発現の関係を解明する実験等に着手した。その結果、感覚神経切除によって視床下部では多くのタンパク質に発現低下が認められ、海馬においてはタンパク質発現の変化はマイナーであった。本実験において見つかったタンパク質の変化を総合して解釈すると、感覚神経切除は視床下部において(1)解糖系酵素発現の減少、(2)細胞死抑制因子の減少、(3)ドーパミン作動性ニューロン関連因子への影響を誘発した。筋からの感覚情報が、脳機能に顕著な影響を及ぼすことを示唆するものである。
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