研究分担者 |
中井 直也 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90324508)
河野 史倫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90346156)
佐古田 三郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00178625)
西本 憲弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80273663)
大海 忍 東京大学, 医科学研究科, 准教授 (20160046)
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研究概要 |
前年度の研究で、ラットにおける後肢筋活動の抑制が脳の機能やタンパク質発現、神経新生等にネガティブな影響を及ぼすという結果を得たので、今年度は感覚神経情報の影響を追求した。脊髄第3-5腰椎由来の後根神経を切除したラットでは、視床および視床下部におけるenolase 1, alpha, pyruvate kinase, muscle, triosephosphate isomerase1, synuclein, beta, nucleotide diphosphate kinase A, nucleotide diphosphate kinase B, histidine triad nucleotide binding protein 1, cofilin 2, muscle, peptidylprolyl isomerase A, それにATP synthase D chain, mitcondial発現が減少した。筋活動に由来した感覚情報の重要性が示唆された。 我々は、損傷筋の再生は温熱刺激によって促進され、それには筋におけるheat shock protein(HSP)72発現を伴っていることを報告している。ところが、横断切片における分析の結果、HSP72発現は筋線維を取り巻く毛細管内の細胞に局在することが分かった。筋採取前にperfusionにより血液を除去すると、HSP72発現細胞は消失した。ところが、bupivacaine注入による損傷で減少または増加した筋細胞質における遺伝子発現は、正常値に近づいていた。血液中のHSP72発現細胞からの何らかの情報が筋線維再生機構を刺激していることが明らかとなった。 損傷等に起因した筋活動の抑制は、脳機能を低下させることにもつながることが明らかとなった。損傷筋の再生処方にも有意義な示唆が得られ始めたので、その意義は大きい。
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