研究課題
ブラックカーボンは、太陽光を強く吸収し大気を加熱するため、対流が抑制され、雲の生成・降雨が抑制される。またブラックカーボンは雲凝結核として作用するため、雲の反射率、雲量、降水量などの変化も引き起こす。これまでブラックカーボンの気候影響を研究する上で鍵となる粒径分布、被覆量、光吸収率の測定が全く行われてこなかった。2009年の春季に、ブラックカーボン測定器、無機エアロゾル化学組成測定器、エアロゾル粒径分布測定器、雲粒子測定器を航空機に搭載し、高度8kmまでのブラックカーボンの物理化学特性(粒径分布、被覆量、光吸収率、雲凝結核特性)の広域分布を測定した。中国からの汚染空気塊の流出が顕著な東シナ海・黄海上空を中心に観測を行い、この領域におけるエアロゾルの粒径分布・濃度・混合状態の高度分布を明らかにした。また、測定されたブラックカーボンの高度分布を、アジア大陸上での放出量と鉛直輸送の観点から解析し、ブラックカーボンの輸送効率を推定した。さらに、中国からの汚染空気塊においてブラックカーボンが被覆されていく過程を明らかにした。これらの解析研究において、3次元化学輸送モデルにより、アジアにおけるブラックカーボンの発生量・下層から中層への輸送経路を調べた。特に中国における対流活動に伴う輸送課程についての詳しい解析を行なった。2008年の春と夏に得られた北極・中緯度でのブラックカーボンのデータを解析した。春季のデータでは、長距離輸送されたブラックカーボンの粒径分布、被覆量の特性を評価し、ブラックカーボンの発生源を同定した。夏に得られたアメリカの西海岸の都市域、アメリカおよびカナダでの森林火災近傍でのデータからそれぞれの発生源付近でのブラックカーボンの粒径分布、被覆量の特性を評価した。またブラックカーボンと他のトレーサーとの相関の傾きから、森林火災による発生源付近での放出比を求め、従来の発生量の推定の誤差を評価した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (28件) (うち査読あり 28件) 学会発表 (10件)
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