20年度は、球面収差補正装置を搭載した走査透過電子顕微鏡(TEM/STEM)を主要装置として用い、放射光測定のための整備を行った。この装置はギャップの狭い高分解能用ポールピースを用いているため、集光用ミラーを挿入することができない状態であった。そこで本年度に、放射光計測のためのワイドギャップポールピース用のゴニオステージを導入し、集光ミラーをポールピースギャップ内に挿入できるようにした。低加速電圧(80kV)と高加速電圧(200kV)で使用したときの微小電子プローブが収差補正装置を使用してSTEMモードにおいて所定の分解能0.5nmを実現するのを確認した。また、放射光測定のため具体的に以下のことを行った。 ・前年度作製した放物面ミラーをTEM内に挿入し位置調整のできる集光ミラーホルダーの設計と製作を行った。 ・光学系の整備: CCDカメラ、PMT検出装置、CCD検出装置の切り替え機構を製作した。 以上の結果、集光ミラーを挿入した状態で高い空間分解能で試料観察できるTEM装置、およびTEM内試料からの発光を検出する光学系が完成した。装置の調整が終わり、微小プローブを利用したナノメーターサイズの金属微粒子のフォトンマップや角度分解発光スペクトルの測定を開始した。
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