研究課題
今年度は加速電圧80kVで発光測定実験が可能になるための透過型電子顕微鏡(JEM2100F)の加速管部分の工事を行った。印加電圧を80kVまで低加速化し、電子ビームプローブの径を1nm以下まで小さくすることに成功した。前年度の金属微粒子を含む系の研究では直径が数10nm~数100nmの銀微粒子を扱った。本年度は、直径10nm程度まで微粒子サイズを小さくし、銀基板上に蒸着した銀微粒子からの発光のサイズ依存性を調べた.その結果、銀微粒子のMieモードの共鳴エネルギーはわずかに低エネルギー側にシフトするだけで基板の影響をあまり受けないことが分かった。その代わり、微粒子と基板表面との間の間隙に生じるギャッププラズモンによる発光を検出することができ、サイズの減少とともに共鳴エネルギーが高くなることを明らかにした。プラズモニック結晶内のCavityの研究では、基本的な1次元ストライプ格子に1本の間隔の異なるストライプを形成し、間隔とCavityモードのエネルギーの関係を明らかにした。また、同じ1次元プラズモニック結晶を用いてその表面を電子ビームに平行に設定しSmith-Purcell放射の測定を行った。角度分解スペクトル像にはSmith-Purcell放射の分散線に沿って明瞭な線状コントラストが現れ、プラズモニック結晶の周期や加速電圧によって位置が変わることを示した。線状コントラストは分散線に沿って強度変化があり、表面プラズモンポラリトンの励起と関係していることが示唆され、現在スペインの理論グループにシミュレーションを依頼している。
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http://wwwsurf.phys.titech.ac.jp/tylab/index_j.html