半導体生産の分野では、原版(マスク)のパターンを光でウェハ上のレジストに一括転写する「フォトリソグラフィー」とよばれる量産技術が確立している。これに対しコンピュータからのデータで直接描画する「マスクレス描画」は、大量生産には向いてないが少量生産や開発には適している。微細パターンを持つ最新LSIでは1品のマスクコストは数億円にも上るため、少量の生産では採算が合わない。また、短い製品寿命のものでは開発期間の短縮が必要である。このため微細パターンを描ける描画速度の高いマスクレス描画が望まれている。本研究ではマイクロマシニングを用いて並列電界放電子源、静電レンズ等の各要素を作製、これらを組み合わせ、高分解能のマスクレス描画装置として並列電子線描画システムを構築する。本システムでは電子線をオンオフしながらステージを動かし、多数の電子源で同時に描画する。電子源の間隔だけウェハをスキャンするためのステージ、各要素の接合技術などの要素技術も開発する。
|