研究課題
東南アジアで新型腸管感染症が多発して越境する可能性のある地域の代表として、タイ-マレーシア-インドネシアを選び、この南北の枢軸を調べた。新型腸炎ビブリオが二枚貝(ハイガイ[アカガイ])、大腸菌0157が牛肉を介して越境していることを示すデータを得た。特に新型腸炎ビブリオについては、宗教思想にもとづく食習慣の違いと二枚貝の活発な交易がそれぞれ感染症の発生と伝播に強く影響していることが明らかになった。最近マレーシア産の稚貝をタイとベトナムが購入して養殖し、成長したハイガイは中国からタイへかけて販売されている。タイでは二枚貝の生産(養殖)に適した沿岸環境も感染症の発生に寄与している。この地域(中国文化圏)では、血液様浸出液が媚薬として好まれ高い値段で取引されている。一方イスラム圏であるインドネシアでは血液はタブー視され、貝は、2時間程度加熱してから販売・喫食する習慣がある。タイから中国・台湾へハイガイを空輸するルートもあることがわかった。タイ・ミャンマー国境(ラノン)やインドネシア・マレーシア国境(サラワク)でマラリアが、労働者の国境移動などに伴って越境している現状を明らかにした。サラワクではマラリア患者に関する膨大な一次データを入手したので、それを解析するための各種の解析モデルを作成した。その他、最近都市国家であるシンガポールに持ち込まれ、感染がひろがったチクングニア熱(蚊媒介性ウイルス感染症)に対しては、媒介蚊のコントロールが国レベルでの重要な介入政策であり、最初は機能していたが、日々越境して出入りする多数の人々の勢いがこれに勝って感染は広がったと結論した。
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