研究課題/領域番号 |
19101010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西渕 光昭 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (50189304)
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研究分担者 |
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80183804)
速水 洋子 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (60283660)
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80272441)
石川 登 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (50273503)
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (90372549)
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キーワード | 東南アジア / 感染症 / 労働移動 / 地域政策 / 商品連鎖 / タイ / マレーシア |
研究概要 |
腸炎ビブリオについて、アジアの新型(世界的大流行)菌の経時的な推定越境ルートと二枚貝(特にハイガイ)の貿易ルートとの一致から、二枚貝の貿易を介したマレーシア→タイ・ベトナム→中国のルートが基幹的伝播ルートであろうと推定した。これには、熱帯環境を好む菌の性質と伝統的な食文化が関与していると考えられる。その他に魚介類の生産形態(タイでは、多数の小規模事業者のチェーンが、リスクを分散し、変化する市場の需要に応えた付加価値ある産物を生産)が衛生管理体制を複雑化し、感染症の発生に寄与している可能性が考えられる。大腸菌0157について、マレーシア→タイの牛肉輸出が本菌の越境ルートの1つであることが判明した。その他マレーシアの市場で市販されている野菜や鶏肉のカンピロバクターや腸炎ビブリオ汚染とそのルートを明らかにした。タイのミャンマー国境ラノーンにて、ミャンマーから越境してくる労働者が感染症越境のキャリアの可能性と危惧されている問題について、彼らの脆弱な法的地位の問題が医療保健上の問題を増幅させており、これは社会・経済・法的・政治的な構造の中で生み出されているものであることを解明した。 サラワク(マレーシア)でのマラリアがインドネシアから越境侵入している問題に関して、サルからヒトに伝播するサルマラリア(Plasmodium knowlesi)が重要な位置を占め、新しい感染制御体制の確立を迫られていることがわかってきた。インドネシアのバリ島で、デング熱が多発し、旅行者の感染が日本への越境の原因となっており、その重要な原因は、行政や観光業界の危機意識の不足であると思われる調査結果を得た。また、海外からの旅行者が日本に到着するピークと、デング熱媒介蚊の出現ピークとが時期に重なる可能性があり、国内流行の可能性を否定できないことを示す調査結果が得られた。
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