研究課題
前年度までに提唱した新型腸ビブリオが二枚貝の輸出入を介して、国境を越えるという仮説をさらに支持する生態学的・疫学的解析結果を得た。タイ南部では、この菌による感染症の勢いは衰えていなかったが、わが国では患者が激減し続けている。我々の高感度検査法を用いると、アジアの熱帯地域(従来のサンプリングポイントのみならず、ベトナムやタイの各地を含む)において、新型菌が一定の頻度で二枚貝から分離できることを確認できた。過去に確認したアジア各地での二枚貝を含む水産物の活発な輸出入を考慮すると、アジア各地で本菌によって汚染した魚介類が流通している可能性が考えられる。従って、我々の新型菌感染症報告後に、厳しい衛生規範を策定・徹底したことが、我が国で感染防止が成功した重要な要因であると言える。腸管出血性大腸菌についても、この菌が輸出入牛肉とともにアジア地域内で越境していることを確認したので、同様のことが言える。一方で、文化的要因(二枚貝、他の魚介類、肉類などを不十分な加熱処理のみで食べる習慣)が、各国で感染症の発生を助長する恐れがあるが、一律に規制するのは難しい。そこで我々は、ALOP (appropriate level of protection)の概念に基づいて、定量リスクアセスメントシステムを構築する必要があると判断し、今後この方針に沿って実施したいと考え、そのための予備実験を実施した(下記項目11,12に続く)。蚊媒介性感染症については、インドネシアバリ州で収集したデング熱の情報を詳細に分析し、気候条件(特に気温と降水量)および防蚊対策が重要であると判断した。日本(京都)では、定点を増やして2年目の蚊の分布調査、気象観測、データ解析を実施し、昨年度の調査結果を裏付ける結果が得られ、今後必要と思われる研究の礎を築くことができた(下記項目11、12に続く)。
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