研究課題/領域番号 |
19102002
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
遠山 一郎 愛知県立大学, 日本文化学部, 非常勤講師 (80132174)
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研究分担者 |
丸山 裕美子 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (00315863)
中根 千絵 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (80326131)
山村 亜希 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (50335212)
犬飼 隆 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (20122997)
久冨木原 玲 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (10209413)
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キーワード | 国文学 / 国語学 / 日本史 / 戦争 / 物語絵 / 中世都市形成 / 景観 / 言語認識 |
研究概要 |
久冨木原玲・中根千絵他1名は『武家の文物と源氏物語絵-尾張徳川家伝来品を起点として』を出版した。本書は26篇の論文・図版解説等によって、古代から近現代までの文物について、戦争を基底に置きつつ豊富な絵画資料をカラーで載せ、文化・政治・教育などの視点から解明した。これによって、本研究の主題である全時代を通した「文物の総合的研究」の一端を具体化した。さらに桐原千文は、蓬左文庫、徳川美術館の所蔵品の基礎となっている家康の蔵書・所用の品々が、鎌倉幕府以来の武家政権の宝物を受け継ぐものであることを、尾張家以外の記録さらに金沢文庫本の伝来記録等の調査によって示し、家康の遺産が御三家にもたらされた意義を考察した。また家康が計画した城下町名古屋について、名古屋市内の主要寺院の特別公開を主催し、伝来の文物の調査を行った。市内の情妙寺の咬易図」を、展覧会の開催を機に新たに調査し、蓬左文庫展示室で公開した。情妙寺関連の茶屋四郎次郎家旧所蔵図や茶屋家伝来の香木も調査し、展示した。 山村亜希は、国際研究集会「日本とイギリスの城と町」を企画・実現し、城下町の日欧比較研究により、戦を経て城郭と城下町の構造が変化を遂げると同時に、日欧いずれでも骨格となる景観が継承されることを示した。 山口俊雄は宮崎真素美とともに前年度に企画・開催した国際研究集会「日本近代文学と戦争」の成果(口頭発表、全体討論)を、6篇の論文集『日本近代文学と戦争』にまとめ、刊行した。 犬飼隆、福沢将樹は、今年度に研究集会「天草版平家物語-原拠本と日本語の歴史-」を開き、吉田永弘、近藤政美とともに研究発表を行い、源平の合戦・宗教改革の副産物である天草版平家物語の、資料の性格と言語の歴史に関する最新の成果を報告した。また、犬飼は白村江敗戦後に倭国へ亡命した百済王室層が7世紀後半から8世紀初頭の日本の学制を掌握し彼らの漢学が日本の漢字使用の基礎になったことを解明した。また犬飼は、源平の戦を語った平曲について、現行の検校による演奏の普及・保存と研究の振興に努め、その発声法の一端を解析した。 上記の成果により、本研究が目指す、広い視野を含む通時的な戦の研究の全体的な仕上げを具体化させた。
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