研究分担者 |
西村 和雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (60145654)
柴田 章久 京都大学, 経済研究所, 教授 (00216003)
新後閑 禎 京都大学, 経済研究所, 教授 (40242135)
照山 博司 京都大学, 経済研究所, 教授 (30227532)
スタハースキー ジョン 京都大学, 経済研究所, 准教授 (40437281)
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研究概要 |
「ひと」グループでは,グローバリゼーションの進展下での,労働市場の変化と朱業率上昇に関する実証研究を行ない,非正規労働の増加が,90年代以降の失業率の変動の性質に重要であり,かつ,正規労働・非正規労働間の選択に関し,労働者間で公正性が満たされていない可能性を検証した.また,ミクロ・データによる実証分析によって,90年代と2000年代前半を通じて,操業を続けている事業所で発生する雇用創出・雇用消失よりも,事業所の開廃業によって発生する雇用創出・消失の方が雇用変動に支配的な影響を及ぼしていることを示した.「もの」グループでは,成長モデルに外部性を導入した場合に特徴的に現れる多数均衡の分析を,閉鎖経済・2国貿易モデルとのそれぞれで行った.「かね」グループでは,金融資産が自由に取引できる状況下での二部門成長モデルを分析し,各国の主観的割引率と特化パターンの間には直接的な関係がないことを示した,さらに,ベトナム経済の現状を体系的に検討する方法,現在の世界経済危機に関する経済学の考え方の整理,日本の貿易構造の変化に関する状況把握で成果を得た.「数学的基礎」グループでは,資本ストックが存在する動学的一般均衡モデルにおける均衡の大域的不決定性および確率的な経済における定常的競争均衡の特徴付けを行い,それらを数値的に計算する手法を開発した.「社会的共通資本」グループでは,「市場の質」という概念を厳密な形で定式化し,「社会共通資本」としての「市場」をとりまく,法律・制度・慣習といったソフトなインフラと,技術のようなハードなインフラという二つの要素の間のディス・コーディネーションが経済活動をゆがめ,市場の質を低下させることで,今回の金融危機が生じたことを明らかにした.これらの研究は,学術的にはもちろんのこと,政策的にも大きな意義をもつものである.
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