研究課題/領域番号 |
19103003
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 祥好 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (90127267)
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研究分担者 |
上田 和夫 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80254316)
白石 君男 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (90187518)
鏑木 時彦 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (30325568)
伊藤 裕之 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40243977)
大串 健吾 京都市立芸術大学, 音楽学部, 名誉教授 (00203745)
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キーワード | 音声言語 / 知覚体制化 / 聴覚の文法 / 聴覚コミュニケーション / 音声情報処理 |
研究概要 |
これまでさまざまな言語の音声について音響分析を行ってきたが、今年度、連続的なイギリス英語音声の分析を音素ラベルの付けられた音素データベースに対して行った。その結果、当初の予測を超えて、英語音韻論において響き度sonorityと呼ばれる性質に対応する音響的な次元を見出すことができた。これによって、2次元表示において英語音素が響き度の高い順に母音、共鳴子音、阻害音という3つのカテゴリーがはっきりと区別される。英語音節は響き度の高い音、主として母音を中心としてその前後により響き度の低い音がつながっているのが典型的な形である。特に、語頭に2つないし3つの子音が続く場合には、母音に向かって次第に響き度の高くなることが音韻論の分野において知られているが、今回の分析により、響き度に対応する音響的な性質が確かに存在することが確かめられた。また、600~1800Hzの周波数成分が響き度を高めること、3200Hzを超える成分が響き度を低めることが明らかになった。このような分析に関連づけて、言語音声の生成過程を模擬する計算モデルを構築した。現在、発話運動と、音声信号との関係を調べる準備を進めている。また、実環境において、高齢者と健聴者との両方に聴きとりやすい音声の処理方法についても研究を進めている。 「聴覚の文法」との関連で、調波性を保ちながら2秒程度の時間をかけて上昇する周波数変化音のうち、一つの成分が時間的中央付近で中断するとき、時間的中央付近に短い音(終端音)があるように聴こえる場合のあることを確かめた。すなわち、この錯覚的な終端音の大きさ、高さ、時間長について、主観的等価値を求めることにより、この音が確かに聴こえていることを確認した。また、空隙転移錯覚や分離音現象などの聴覚の錯覚現象について、合成音声や楽器音によるデモンストレーションを作成した。特に、合成音声を用いた中国語については、音節や声調が知覚されることを確かめた。
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