研究概要 |
聴覚コミュニケーションを,人間の聴覚,視覚などの知覚システムおよび調音,発声などの動作システムと結びつけて,知覚心理学,言語学,音声科学を融合した立場から検討を加える。これらの知見を統合的に捉えることによって言語情報伝達における連続性と分節性を明らかにする。 (1)研究開始当初の背景 言語,音楽などの聴覚コミュニケーションは,人類の文化を基礎づける不可欠の要因である。特に言語は,人類の記号使用の原型であることは,広く認められている。聴覚コミュニケーションを,人間の聴覚,視覚などの知覚システムおよび調音,発声などの動作システムと結びつけて,現実の環境においてどのようにコミュニケーションがなされているのかを明らかにする必要がある。 (2)研究の目的 もともと明確な区切りがあるとは限らない音響信号を,要素に分かれ,時間方向に線的につながったものとして捉え,いくつかの要素がまとまりをなすものとして捉えることによって,聴覚コミュニケーションは成りたっている。言語を中心とする聴覚コミュニケーションを研究対象とし,知覚心理学,聴覚生理学,音楽心理学,音声工学を統合して,音響信号に含まれる離散的な記号としての側面に本格的に実験科学の光を当てる。
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