研究課題
本研究では、解析プログラムの更なる改良、また将来の高精度測定を念頭に置いた前置測定器のためビームの左右対照性を測定する測定器を設置して、T2K実験の成果が最大限に出せるようにすることを目的として研究をおこなっている。第1の解析プログラムの整備については、主としてリング数を数えるプログラムを改良し、それを用いてスーパーカミオカンデの大気ニュートリノデータの再解析を行った。その結果をスーパーカミオカンデ共同研究として本年5月に開催されたニュートリノ国際会議で報告した。結果は以前の結果と大きな違いはなかったものの、リング数を求めるプログラムの改良で、その部分の系統誤差が半分以下になり、今後更に統計が増えたとき、あるいはニュートリノ振動の3世代効果を調べる際には今回の改良が大きく役立つと思われる。もちろん、この改良はT2K実験にとって重要である。第2はビームの左右対称性をモニターするコンパクトなニュートリノ測定器の開発である。この測定器を設置可能な場所はニュートリノ生成ターゲットから280mのところにあるニュートリノ実験ホール内に限られている。すなわち、この実験ホールに同一のニュートリノ測定器を左右に2基設置してニュートリノを観測し、ニュートリノビームの左右対照性を調べる。そのため、縦横約1m×1m×奥行2m程度以内で、十分なニュートリノ事象数があり、ビームスペクトルの形も含めてビームの左右対称性を議論できる必要がある。具体的には、厚さ1cmの鉄の板をニュートリノのターゲットとし、プラスチックシンチレータで生成粒子の飛跡を検出し、波長変換機能のついた光ファイバーで光を送り、それをマルチアノードの光電子増倍管で読み出すデザインを採用し、基本設計を終えた。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Phys. Rev. D 77
ページ: 052001-1-6
AIP Conf. Proc. 981
ページ: 139-141
ページ: 3-7