研究課題
1.単一スピンの量子コヒーレンス(1)傾斜磁場法による2個の電子スピン量子ビット(ラビ振動)を初めて実現し、それぞれについてラムゼー測定を行い、いずれもデフェージング時間T2*〓100nsec、片方についてエコー実験からデコヒーレンス時間T2〓3μsecを得た。これらは、従来の報告値より5~10倍大きい。強い磁場を加えたこと、あるいは観測の影響が原因と考えられるが、詳しくは検討中。さらに、2スピンの交換と片方のスピンの回転を組み合わせたユニバーサルSWAPに初めて成功した。(2)核スピン制御に関して、横型ドット試料を用いて、電子スピン共鳴線に対する明瞭な核スピンの影響(核磁場ゆらぎによる共鳴線の揺らぎ、超微細結合を介した動的核スピン分極による共鳴線のドラッグ現象)を確認した。前者は上記T2*の主要因と考えられる。2.近藤コヒーレンスと超伝導の競合(1)InAs量子ドットを含むジョセフソン接合において、サイドゲートを作製し、近藤効果の電気的制御に成功した。系統的に近藤温度を制御すると、近藤効果が支配的な領域では超伝導電流が増大し、磁気的縮退状態では超伝導電流が強く抑制される0-π接合相転移を詳細に調べた。(2)スピン軌道相互作用による準位反交差を、近藤効果により検出し、InAs量子ドットに近接したサイドゲートでスピン軌道相互作用の大きさを制御することに成功した。3.観測による量子コヒーレンスの破れ(1)ABリングと結合細線とを結合させた飛行量子ビットの制御系において、多端子構造のためではなく、量子力学的な状態変化によって時間反転対称性やOnsagerの法則が破れることを明らかにした。これは、この飛行量子ビットが外部端子の電圧揺らぎによる影響を受けないことを意味し、この系が観測問題を扱う上で理想的であることが確認された。(2)量子ドットに近接して置かれた電荷検出計(量子ポイントコンタクト)に電流を注入し、その影響を調べた。その結果、電荷検出計からのバックアクションによって量子ドット内の電子スピン状態が直接影響を受けないことが確認された。
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