研究課題
電界トランジスタ構造を用いた電界誘起物性ではイオン液体を用いたMoS_2トランジスタを構築し、パリレン絶縁膜を用いたトランジスタで観測されていた電界誘起絶縁体-金属転移を確認すると同時に、T_c=9.4Kで超伝導転移を観測した。バルクではインターかレーションによって約6Kの易の超伝導が報告されているが、観測された転移温度はこれよりはるかに高い。超伝導転移の磁場方向依存性から二次元性が強いことを確認した。スピン軌道相互作用(と電界効果)の視点から新たに展開している5dIr酸化物の物性では、電界効果への展開を念頭に置きつつ、SrIrO_3薄膜試料の作製を行い、これに成功した。作製した薄膜はバルクと同様半金属性を示すが、SrTiO_3と超格子を形成し、多層膜化すると、SrIrO_3層数の減少と共に、半金属から絶縁体へと移行していくことが観測された。金属-絶縁体転移に伴い弱強磁性を観測した。スピン軌道モット絶縁体Sr_2IrO_4の研究では重いIrの特徴を活かしたX線共鳴非弾性散乱(RIXS)の実験を行い、運動量依存のスピンと電荷の励起を捉えることに成功した。スピンの励起のエネルギースケールは0.1eVと、磁気散漫散乱から求めたスピン相関の温度依存性からの推測と一致している。Ir^<4+>のJ_<eff>=1/2波動関数に伴う量子位相効果の発現を期待して、90°結合ハニカム型のLi_2IrO_3を合成した。強磁性的相互作用の存在が確認され量子位相を体現するキタエフ型の相互作用が顕在化していることを確認した。
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