研究課題/領域番号 |
19104010
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
東 俊行 独立行政法人理化学研究所, 東原子分子物理研究室, 主任研究員 (70212529)
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研究分担者 |
田沼 肇 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30244411)
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キーワード | 原子・分子物理 / 量子エレクトロニクス / 加速器 / 量子ビーム / 放射線,X線,粒子線 |
研究概要 |
1.ダイナミクス研究@HIMAC 3次元コヒーレント共鳴励起によって励起されたHe-likeアルゴン(Ar^<16+>)および鉄(Fe^<24+>)イオン、結晶内原子と衝突して電子損失する際に放出される2次電子の観測に取り組んだ。この2次電子はイオンとほぼ等速に前方へ放出される。一定の受け角度幅を有する磁場分析器で測定した場合、その収量は元来のイオンにおける電子運動量分布のうち、イオン進行方向に対して横方向の分布に強く依存していることを見いだした。また束縛3電子を伴うLi-likeアルゴン(Ar^<15+>)イオンに対して、2重共鳴を起こさせることによって、基底状態(1s^22s)からすべての電子がn=2準位に励起された(2s2p^2)特異な原子を選択的に形成することを試みた。その結果、共鳴条件下でオージェ電子が増大することを観測した。 2.スペクトロスコピー研究@GSI 前年度のSISシンクロトロンより取り出したLi-likeウラニウム(U^<89+>)イオンを用いた第1回目の実験に引き続き、SISより取り出したHe-likeウラニウム(U^<90+>)イオンを一度ESRイオン蓄積リングに挿入し、電子冷却法によって速度幅を狭めた上で、電子捕獲の結果生成されるLi-likeウラニウム(U^<90+>)イオンを用いた第2回目の実験を行った。核子あたり191MeVのLi-likeウラニウム(U^<89+>)イオンを7ミクロン厚の薄膜Si結晶標的に通過させ、2次元コヒーレント共鳴励起によって1s^22s_<1/2>準位から1s^22p_<3/2>へ励起させた。その結果生成される励起状態からの脱励起X線を観測することで、遷移エネルギーの測定を行った。RCE共鳴によるX線の増大は明確に観測された一方で、電子冷却によって入射イオンの速度幅が狭まり、前回の実験に比較して共鳴幅が大幅に狭くなることが期待されたが、実際には、もうひとつの拡がり要因である、ESRリングからの取り出しや実験室までの輸送におけるビーム角度拡がりを反映した共鳴幅が観測された。
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