固体惑星起源物質としての非晶質珪酸塩の重要性とその初期進化

2009 年度 自己評価報告書

• 研究課題/領域番号: 19104012
• 研究種目: 基盤研究(S)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 岩石・鉱物・鉱床学
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 土山 明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90180017)
• 研究期間 (年度): 2007 – 2011
• キーワード: 地球惑星物質 / 宇宙塵

研究概要

本研究では、実験的研究および始原的な地球外物質(Stardustサンプル・彗星起源宇宙塵・始原隕石など)の鉱物学的研究を有機的に組み合わせることにより、以下のことを明らかにする。
(1)始原天体の原材料が非晶質珪酸塩であったことを物質科学的に示す。
(2)この太陽系原材料物質としての非晶質珪酸塩の性質(構造・物性・反応性など)を特定する。
(3)彗星内での非晶質珪酸塩の進化(とくに結晶化)を明らかにする。
(4)始原的な小惑星での非晶質珪酸塩の進化(結晶化・水質変成など)を明らかにし、有機物の非晶質珪酸塩との相互作用による前生物的進化について議論する。
(5)非晶質珪酸塩が分子雲に取り込まれる以前の段階での、星周領域・星間空間での珪酸塩の進化についても議論する。
これにより、太陽系原材料物質としての非晶質珪酸塩が太陽系形成にどのような役割を果たし、またどのような進化を遂げたのかについて解明する。

研究成果

• [雑誌論文] Threedimensional structures and elemental distributions of Stardust impact tracks using synchrotron microtomography and X-ray fluorescence analysis (2009)
  • 著者名/発表者名: A. Tsuchivama, T. Nakamura, T. Okazaki, K. Uesugi, T. Nakano, K. Sakamoto, T. Akaki, Y. Iida, T. Kadono, K. Jogo, Y. Suzuki
  • 雑誌名: Meteoritics and Planetary Science 44 ページ: 1203-1224
  • 査読あり
• [雑誌論文] Crystallization experiments on amorphous magnesium silicate. I. Estimation of activation energy of enstatite crystallization (2009)
  • 著者名/発表者名: K. Murata, H. Chihara, C. Koike, T. Takakura, Y. Imai, A. Tsuchivama
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 697 ページ: 836-842
  • 査読あり
• [雑誌論文] Mg/Fe fractionation in circumstellar silicate dust involved in crystallization (2009)
  • 著者名/発表者名: K. Murata, T. Takakura, H. Chihara, C. Koike, A. Tsuchivama
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 696 ページ: 1612-1615
  • 査読あり
• [雑誌論文] Bulk mineralogy and three dimensional structures of individual Stardust particles deduced from synchrotron X-ray diffraction and microtomography analysis (2008)
  • 著者名/発表者名: T. Nakamura, A. Tsuchivama, T. Akaki, K. Uesugi, T. Nakano, A. Takeuchi, Y. Suzuki, T. Noguchi
  • 雑誌名: Meteoritics and Planetary Science 43 ページ: 247-259
  • 査読あり
• [雑誌論文] Chondrule-like Objects in Short-Period Comet 81P/Wild 2 (2008)
  • 著者名/発表者名: T. Nakamura, T. Noguchi, A. Tsuchivama, T. Ushikubo, N. T. Kita, J. W. Valley, M. E. Zolensky, Y. Kakazu, K. Sakamoto, E. Mashio, K. Uesugi, T. Nakano
  • 雑誌名: Science 321 ページ: 1664-1667
  • 査読あり
• [備考] Wild-2彗星塵中のコンドリュールの欠片を発見した研究について、2008年9月9日 (日経新聞など多数) と2008年10月7日 (朝日新聞) に新聞掲載があった。また、ベトナムのインターネット媒体でも紹介された。
• [備考] (財) 高輝度光科学研究センター発行の SPring-8News (2007年7月、No. 33) のおいて、研究成果トピックスとして「SPrin-8で小さなかけらから太陽系のなぞを探る」というタイトルで、スターダストサンプルである彗星塵分析の成果が紹介された。