不活性なアルカン類の水酸化反応を触媒するP450は、その高い酸化能力から、合成反応への応用を意識した研究が世界中で展開されているが、P450による反応系の最大の問題点は、「非常に高価なNADHやNADPHを基質に対して等モル量消費する」点にある。合成反応への応用を考えると、安価な過酸化水素を酸化剤として用いる酵素系の創出が必須条件であり、上記の背景を意識して、基礎的な研究成果を基盤に、実用化に向けた酸化酵素の創成を研究目的とした。また、ミオグロビンのヘム近傍構造を設計することによって作り出した酸素添加酵素の活性は、蛋白質の分解反応によって数分で失活するなどの問題点を含んでいた。そこで、酵素活性の高い系の構築と酵素の耐久性向上をめざす新たな研究課題の提案をするに至った。
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