研究概要 |
1.有機デバイスにおける有機/金属電極界面のモデル系として、代表的な有機電界発光素子材料として知られる銅フタロシアニン(CuPc)薄膜、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)と各種金属基板との間に形成される電荷注入障壁を系統的に調べ、金属の仕事関数と電荷注入障壁の関連性を解明した。(E.Kawabe et al., Org. Electron., 9(5), 783(2008))また、有機太陽電池材料として知られているPCBMと、その薄膜の電子構造を初めて解明した。また、有機太陽電池の陰極材料として使用されているAg電極とPCBM薄膜の界面電子構造を調べ、AgとPCBM分子との相互作用によって、特異な界面準位が形成される事を解明した。(Appl. Phys. Lett., 94 043309(2009)(Virtual Journal of Nanoscale Science&Technologyに選出・転載))これらの成果は、デバイスの動作原理の理解に知見を与えるものであると同時に、構造有機の見地からの新規電子機能性有機物質設計にとっても重要な知見となる。 2.有機試料用逆光電子分光装置の開発を行った。これを用い、代表的な電子輸送性材料や電子受容性分子の研究を行い、分子構造と電子親和力の関係等を議論する事ができた。(K.Kanai et al., Appl. Phys. A95(1)309(2009),他) 平成20年6月に関(前研究代表者)の死去、平成21年2月に研究代表者の異動があったが、研究代表者と分担者が研究実施体制の再編などに関して十分な議論、意見交換を行い、当初の計画を問題なく遂行する事が出来ている。
|