研究課題/領域番号 |
19106002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
進藤 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20154396)
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研究分担者 |
村上 恭和 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (30281992)
赤瀬 善太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90372317)
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キーワード | 電子線ホログラフィー / 電子顕微鏡 / 光励起 / 帯電現象 / 絶縁体 / 電子材料 / レーザー / 電子の干渉 |
研究概要 |
本研究は、光励起させた材料の電位やキャリアの分布を微視的スケールで評価できる新しい電子線ホログラフィーシステムの構築と、当該技術の材料科学への応用展開を骨的としている。具体的には、透過電子顕微鏡(TEM)内で光励起実験を行うための光導入ピエゾ駆動ホルダーシステムの開発、電子線照射による試料変質を防ぐためのシールド技術の確立、感光体材料等に対するTEM内レーザー照射実験と電位分布の評価等を研究項目に掲げている。平成20年度は、特に(1)帯電現象に関するシミュレーション技術の開発、(2)トナー粒子と感光体を用いた光励起現象の評価の二点に関して詳細な研究を行った。このうち(1)のシミュレーション技術の開発については、電子線ホログラフィーの実験で参照波が被る位相変化の影響を考慮できる計算手法を確立することができた。電子線ホログラフィーの実験では、参照波が位相の変調を受けないことが前提条件となるが、帯電した粒子の観察時には電場が参照波の領域にも及ぶため、この条件が成立しなくなる。この問題を抑えるために、これまでは微細加工技術で作製した遮蔽板を利用して電場の分布を操作していたが、今回開発した計算技術により、参照波が位相変調を受けた場合でも、粒子の帯電量の定量解析が可能となった。(2)の光励起現象の評価に関しては、設備備品として購入した複合ビーム加工観察装置を駆使して観察試料と金属シールドの調製を行い、トナー粒子の摩擦帯電や光照射による電荷の減衰特性に関する実験を行った。その結果、トナー粒子では容易に摩擦帯電を誘発できるものの、発生した電荷は光照射や経時変化に対して比較的安定であることがわかった。これに対して有機感光体では、トナー粒子に比べて強い光励起, 現象が観察されることが、ホログラフィーによる電場計測実験から明らかになった。平成21年度は、有機感光体等を観察対象として、光減衰のメカニズムを詳しく研究する計画である。
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