研究概要 |
本研究の目的は,諸機能を融合した光学素子を製造するために,積層微細構造を広範囲一括で金型転写できる技術を開発することである。この目的を達成するために,(a)平成19年度は,成膜とプレスを繰り返して3次元モザイク構造を作る「成膜プレス反復機構」や,(b)積層後にプレスで一括して層間をずらして同様な3次元モザイク構造を作る「剪断変形機構」を設計した。(a)成膜プレス反復機構では,スピンコートして厚さ1μmに薄くしたプラスチック膜を用いて,プレスした膜の上にもう1枚,膜を敷いて再びプレスし,ピッチ1μmの2層の3次元モザイク機構を実現した。このとき,膜に光を照射して回折光を測定しながら,深さ200nmの市松模様の凹凸が正確に転写できていることを確認した。(b)剪断変形機構では,ピッチ400nm程度の市松模様の凹凸をつけた金型を電子線リソグラフィで作成し,このニッケル金型を用いて,基板上に成膜したシリコンと酸化シリコンの5層の膜をプレスした。バネによる衝撃や自由落下のプレスによって,歪速度1000程度の高歪速度下でプレス後に,一層分だけずらすことができた。衝突後,二度打ちしないように,金型を基板から引き離す機構を用いて,1cm角程度の広範囲で転写できた。 また,ロール状の金型を作るために丸棒を切削加工して微細凹凸を創成したり,またはリソグラフィで作成した微細凹凸を作成し,電鋳で薄板上に転写した後でこの薄板を丸めて円筒にすることを試みはじめた。次年度には,この金型を用いてシートに微小凹凸をロール転写する。
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