本研究課題の目的は、水と食料両者の持続性をグローバルスケールで議論できるように、さらに今後懸念される世界の水問題に対して国際社会がとるべき施策に資するように、これまで開発してきた統合型水循環モデルをより発展的に構築することである。 統合型水循環モデルは大きく自然系水循環モデル、人間系水利用モデルに分けられ、それらのモデルに関して精緻化、高精度化を図り、さらに、両者を結びつけるサブモデルとして窒素循環・水質、ダム・発電用水、深層地下水資源のモデルを新たに開発し、全体を統合したモデルシステムを構築する。この統合型水循環モデルを20世紀の100年分について日単位で実行し、水・エネルギー収支、水循環、水利用の推定を行い、検証データを用いてその適合性を確認するとともに、主要なフィードバック過程や、ダム貯水池の効果、人口や経済発展、土地利用変化がグローバルな水循環と水利用にどの程度インパクトを与えてきたのかを定量的かつグローバルに明らかにする。さらに温暖化に伴う気候変動に伴うグローバルな水循環・水資源の将来像を明らかにする。
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