研究概要 |
[阮朝防衛施設] 継続してきた京城の配置計画に関する調査・研究を順安海口及び香江下流域にまで拡大した。阮朝編纂史料でも数多く記述される鎮海城を始めとした防衛諸施設を調査するとともに,今後展開するGIS構築へ向けてGPS機器を使用してその位置情報を合わせて記録した。 [南郊壇] 前年度に行った配置測量の精度を高めるとともに,立面方向の光波測距儀による実測を行い,設計方法の分析を進めた.併せて,現地の歴史家への聞き取り調査および阮朝期の古写真調査を行った。また阮朝編纂史料にも見られる壇廟建築である社穫壇・先農壇・都城隍廟・觀象臺の現状把握のための写真記録、聞き取り調査を行った。 [宮殿建築] 伝統住宅の設計方法に関する研究によってその可能性を推測された梁行断面優先の寸法計画を念頭において,現存する大規模二棟連棟式宮殿建築である太和殿,世祖廟,延壽宮正殿を対象として実測調査を行った。夏期には3棟の正楹梁行断面を,春期には太和殿の前殿梁行断面をそれぞれ図面化した。ケオ(斜梁)による計測上の困難はレーザーレベルの使用による実測方法をもって克服した。 さらに比較対象を拡げ、ディンの一つDinh Duong Noも実測した。 [北部架構調査] フエ宮殿建築の歴史的性格を比較建築史の視点から考慮するために,対象をベトナムにおけるフエという局地的なものから拡げ,ハノイからフエまで,計9省27の伝統木造建築の架構に関して比較調査を行った.GPS機器による測位も合わせて記録した。 [都市計画] 歴史的環境保全の手法をカウンターパートであるフエ遺跡保存センターに提案するため,歴代皇帝陵と周辺集落および周辺の地形についての実態調査をさらに進めて,皇帝陵の池と連結する水路,水田,湖の配置構成を調査した。 以上の各班別の研究成果の報告を行い,情報の共有化と全体化を図った。
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