研究概要 |
本研究ではCo基合金の熱力学・状態図データベース構築とそれに基づく耐熱材料、磁性材料、生体材料の開発を目的として行うが、本年度の研究実績概要は次の通りである。 Co基合金状態図データベース構築のため、Co-Ta2元系の熱力学的解析を行い、実験状態図を良く再現できる結果が得られた。これにより、Co-Al-W-Ni-Cr-Taの計算が可能になった。さらに、Co-Mo2元系についても実験並びに熱力学的解析を行った。準安定なL1_2構造のCo_3MoはCo_3(Al,W)のL1_2構造より不安定である事がわかった。この結果はCo基合金へのMoの添加はγ'ソルバス温度を低下させる事実と良く一致した。これらのデータベースを利用して。鍛造温度の1100~1250℃では、γ'相の対積分率を低くして熱間加工が可能なように、また使用温度の700~800℃ではγ'相の体積分率を多くして高強度を保持できるような合金設計を行った。その結果、800℃で10万時間におけるクリープ強度100MPaが期待できる鍛造用Co基スーパーアロイを開発する事ができた。また鋳造用耐熱合金としてFSW(摩擦撹絆接合)用ツール材を開発し、従来FSWが困難であったTi合金を始め、低合金鋼やCu合金のFSWのツール材として極めて優れている事を確認するとともに平成24年4月より商品化する事が決まった。磁性材料としてはハーフメタル型のCo基Co_2YZ(Y=Cr,Mn:Z=Al,Ga,Si)ホイスラー合金の磁化の温度変化を精密に測定した。その結果、これらの合金のスピン波分散係数はキュリー温度と線形関係を示し、局在的モデルで議論できる事がわかった。
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