研究課題
フリーク波が、海洋波エネルギーの幾何的集中や波長による波速の違いによる集中以外に、水面の非線形効果により起きることを説明し、波浪の周波数バンド幅と方向分散性が共に狭いことが、その必要条件であることを、我がグループは本研究で水槽実験と理論考察から世界に先駆けて示してきた。さらにそのデータがより幅広いトロントハイム水槽での実験とも良く一致することを示し、現在では広く認められた定説となっている。本年は、漁船寿和丸、大型貨物船尾道丸、フェリー有明他の日本近海での最近の海難事故時の波浪解析を通じて上記の条件が大波による海難事故時と強く相関していることを示し、フリーク波の発生メカニズムの一つが、本研究で示している現象であることを、昨年に引き続き示した。そのことにより、波浪予測によりフリーク波予報への可能性を示した。数値シミュレーションでは、引き続き風波成長の様子を、波形パターンの時間変化、2次元波数スペクトルの時間変化を計算している。特に本年はフリーク波の発生メカニズムの関連で、4波共鳴条件波の3波共存下での第4波成長が本数値計算で再現される事を確認し、理論解析値と良く一致することと、その時の海上風の影響を考察した。衛星による波浪観測は広範囲における波浪情報を提供してくれるが、観測頻度に制限があるため、局地的に発生するフリーク波の発見などには船舶からの直接観測が有効である。そのため衛星から得られる波浪情報と船舶からのリアルタイム波浪観測を組み合わせることで、より安全な航行が可能となる。統合操船システムと結合を視野に、パルス式マイクロ波ドップラーレーダを用いた実用的リアルタイム波浪観測システムの開発を引き続き行った。平塚沖タワーでの超音波式波高計による波浪観測で、フリーク波を観測して、発生メカニズムを調査すべく観測を続けている。
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日本船舶海洋工学会論文集
巻: 第12号 ページ: 115-123
Journal of Geophys.Res.
巻: 115, C12036 ページ: doi:10.1029/2009JCOO6014
日本船舶海洋工学会講演会論文集
巻: 第11号 ページ: 333-334