研究課題
本研究は、高エネルギー陽子ビームによる核破砕中性子源のような放射線強度と衝撃の強い場に使用する材料の損傷機構を解明し、それらに強い材料開発を目指している。平成19年度は、放射線誘起応力腐食割れ対応材として、オーステナイト系ステンレス鋼に対して加工熱処理条件の最適化を探索し、85%以上の極めて高い対応粒界密度を有する超高対応粒界密度(粒界工学制御)材料を作製する技術を確立した。また、電子線および中性子線照射実験から粒界工学制御が照射損傷に抵抗性を示すことなど新たな粒界工学制御の効能が発見された。さらなる材料開発としては、引っ張り応力に優れ、電気ならびに電気伝導度の高いカーボンナノチューブとアルミナ系の均一分散混合粉末の作成を行った。ヘテロ凝集法とSPS焼結を用い焼結密度ほぼ100%の相対密度を持つものができ、例えば3.5Vol%CNT焼結体の場合、破壊靭性がアルミナの1.7倍あるものが得られた。また、水銀標的の核破砕中性子源の寿命を左右するピッティング損傷の引き金となる水銀中の動的バブルの影響を緩和するため、超高速度カメラによってヘリウムガス挿入による動的バブルの挙動を観察し、その効果の高いことを見出した。北大の超高圧電子顕微鏡には、強力レーザを敷設し、材料の照射基礎実験を行い、材料照射による非均質化におけるナノ構造のゆらぎを見出した。多層膜構造の強度を三次元離散化転位動力学シミュレーションにより解析し、ミスフィット転位間隔が小さい程、層の厚さが小さい程、そして層の数が大きい程、フランク・リード源から張り出した転位がモデル多層膜を貫通するための応力は高くなることが確認された。核破砕中性子源で特徴的なヘリウムによる材料劣化を調べるため、分子動力学法での解析を行った。また、スイスPSIに疲労試験装置を持ち込み試験準備を行い、核破砕中性子源SINQで照射した材料の照射後試験を行った。
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http://wup00dts.cc.kek.jp/research/group/newmaterials/index.html