研究課題
本研究は、霊長類学、生態人類学、先史人類学の3つの異なる学問分野から、人類が示す資源利用とそれをめぐる闘争回避の方法を検討することを目的としている。本年度はこれまでに各地で行って来た調査を継続し、タンザニア、ウガンダでチンパンジーの採食行動の発達と性差に関する資料、コンゴ民主共和国、ガボンで同所的に生息するゴリラとチンパンジーのニッチ分割に関する資料、日本の金華山と屋久島でニホンザルの採食と交尾行動に関する資料を収集した。また、類人猿の糞と尿から性ホルモンやストレスホルモンを採取して分析している。ケニアで発掘した化石霊長類の歯を現世の霊長類と比較して、その食性を検討し、カメルーン、ガボン、コンゴ民主共和国では狩猟採集民や焼畑農耕民の土地や食物をめぐる葛藤とその解決に関わるコミュニケーションの資料を収集した。これらの資料の分析をもとに、6月と10月に日本人類学会進化人類学分科会を開催し、「採食戦略」、「類人猿と人類における性差の進化について」という共通テーマで研究発表と討論を行なった。その結果、類人猿間に補助食物の相違によって骨格と歯に顕著な違いが認められること、人類は類人猿に比べて骨格上の性差が大きく、体重の性差が小さいことが判明した。これは人類の進化の過程で性差を緩和する採食戦略、繁殖戦略が発達したことを示唆している。さらにそれが、森林から草原への生息域の移行に伴い、人類の祖先が多産と共同保育の必要性から雌雄の配偶関係の確立へと向かったことを示している。9月には第23回国際霊長類学会で公開シンポジウム「Origin of Violence and its Solution」を開催して、類人猿と人類の暴力の発現の仕方やその解決法について比較し、狩猟採集民や遊牧民の事例も取り上げて、霊長類学、進化人類学、文化人類学、宗教学の立場から国際的、学際的な討論を行った。
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