人類の生態資源と社会資源をめぐる葛藤の進化史的背景の解釈にはこれまで大きな誤解があった。それが、現代の人間社会の資源をめぐる闘争回避を困難にしている原因となっている。そこで、本研究は、霊長類学、生態人類学、先史人類学の知見と方法論を用いて、人間の生物学的、文化的適応の歴史を再構築し、資源をめぐる葛藤と闘争回避の方法に関わる現代の問題に新たな視点を加えて問い直す目的を持つ。主たる調査地は人類発祥の地アフリカ大陸とし、ヒト科以外の霊長類、ヒト科類人猿、ヒトの資源をめぐる葛藤の性質や程度を調べ、それぞれの分類群がもつ社会生態学的特徴との関連を分析する。それを学際的、総合的に検討し、人類に独自な特徴とそれを生み出した進化史的、文化的背景を特定し、科学的な根拠に基づく問題の解決策を提案し議論する。
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