研究課題/領域番号 |
19108002
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50187259)
|
研究分担者 |
井上 順 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70323962)
|
キーワード | 脂肪細胞 / 脂肪滴 / ApoC-III / RXR / ROR / ペリリピン / インスリン抵抗性 |
研究概要 |
脂肪細胞において脂肪滴蓄積は、前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化の過程で生じる。本年は、分化の過程において発現が上昇する2種類のタンパク質について、脂肪滴形成との連関について解析を進めた。 ApoC-IIIは、肝臓において合成され、VLDLの表面タンパク質として血中に分泌される。これまで肝臓が主たる合成臓器と考えられてきたが、脂肪細胞分化の過程で数百倍に発現が上昇する因子として、今回新たに見出した。ApoC-IIIは分化に伴い、RXRリガンドにより発現の亢進が認められた。プロモーター解析の結果、RXR応答配列が同定され、RXRがホモ二量体で作用することが示唆された。発現量としては、肝臓、小腸に比べるとごく微量であり、脂肪組織周辺において機能することが想像された。 同じく脂肪細胞分化過程で発現上昇し、機能が期待される因子として核内受容体RORαに着目した。RORαは生理的なリガンドが不明であり、その機能も不確かな点が多い。過剰発現、ノックダウン実験の結果、RORαは分化を抑制する因子であることが判明した。その機序は、PPARγによるペリリピン遺伝子発現抑制を介して脂肪滴形成を負に制御することが判明した。RORαは肝臓においては、インスリン抵抗性を促す因子であるが、脂肪組織においては分化を負に制御し、脂肪滴蓄積を抑制するという、組織特異的な機能を発揮する因子であることが明らかになった。
|