研究課題
基礎研究デスアシルグレリンの中枢および末梢投与における作用部位を再度検討するため、投与後のcFos発現部位を連続脳凍結切片で詳細に探索した。その結果、中枢投与では正中視索前核(Median preopticn ucleus)を含む領域に強く発現していることを発見した。この正中視索前核は近年、視床下部の様々な部位に神経投射を行っており、最終的に血管の収縮・弛緩、褐色脂肪の熱生産などによって体温調節を行っている、いわゆる体温調節中枢と目されている部分である。次にデスアシルグレリンの末梢血管への直接作用の有無を検討するため、ラットの大動脈および尾動脈標本を作製し、in vitroによる血管収縮・弛緩作用を検討した。フェニレフリンで収縮させた後、デスアシルグレリンを添加すると、大動脈および尾動脈いずれも弛緩が認められた。応用研究次にグレリンやデスアシルグレリンの体温低下作用が、実際に熱射病などの予防に有効であるのか否かを調べるために、高温室にラットを移動し、室温を35度に設定した。体温の上昇途中で10nmolのグレリン、デスアシルグレリンを末梢投与すると、生理食塩水投与群より、その後の体温の上昇を抑制した。本実験は明期(副交感神経優位状況下)と暗期(交感神経優位状況下)の両者で行ったが、体温抑制作用は暗期の方が著明に現れた。また致死率が大きく改善され、生理食塩水投与群ではほとんどのラットが死んだのに対し、デスアシルグレリン投与群では2/12匹のみであった。以上の結果、デスアシルグレリンの体温低下作用は体温調節中枢への作用であり、また末梢血管の拡張作用であることが判明した。さらにこのデスアシルグレリンの牛への投与は灼熱下での体温低下に有効であることが示唆された。
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