研究課題/領域番号 |
19109002
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山口 明人 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60114336)
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研究分担者 |
中島 良介 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20379100)
西野 邦彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (30432438)
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キーワード | 異物排出トランスポーター / サルモネラ / 環境センシング / 発現誘導機構 / 多剤耐性 / 膜蛋白質結晶構造 / AcrAB / インドール |
研究概要 |
大腸菌が分泌したインドールを、インドール非産生菌サルモネラがセンシングして主要異物排出タンパクAcrABを発現誘導する分子機構の解明に向かって大きく前進した。この発現誘導には、大腸菌にはなく、サルモネラに存在する調節タンパクRamAが関与することを発見した。RamAは、インドールを介した異菌種センシングのみならず、宿主由来の胆汁酸によるAcrAB発現にも必須であった。極めて興味深いことに、インドールと胆汁酸とではRamAを介した誘導の機構が大きく異なることがわかった。すなわち、インドールはまずRamAの発現量を増大させることによりAcrABを発現誘導する。他方、胆汁酸はRamAの発現量そのものには影響を与えずAcrABを発現誘導する。私たちはサルモネラのRamAを初めて精製し、AcrABのプロモーター部位よりやや上流、AcrR遺伝子配列の中に結合サイトを持っ転写活性化因子であることを突き止めた。以上の事実から、RamAの発現量が増加するとプロモーター上流域への結合量が増加し、AcrABの転写量が上昇する。一方、RamA発現量に変化が無くても、上流域への結合親和性の増加などのRamA活性化が起こればやはりAcrAB転写量は上昇するというalternative induction modelが導かれる。現在、そのモデルを証明すべく、胆汁酸とRamAの結合、胆汁酸によるRamAのDNAへの結合親和性変化などの実験を行っている。サルモネラ菌感染モデルの構築、排出輸送活性測定法の確立、サルモネラ菌排出タンパク結晶化などはいずれも順調に実験系の確立などに取り組んでいる。フェムトリッターチャンバーを用いた一細胞排出測定系は確立し、好感度に検出できることを確認した。
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