研究概要 |
生体で,細胞レベルのイメージングを行う場合,核,細胞質,細胞膜,細胞骨格などへSCATを局在させることで個々の細胞でのシグナルが検出しやすくなる。特にアポトーシス時には核の変化が初めに起こるためカスパーゼ活性化を感知して核へ蛍光蛋白質が移行するプローブは,細胞死の初期変化を調べる上で有効である。NLS-SCAT3に核外移行シグナルを付加したプローブは,カスパーゼの活性化に速やかに反応して蛍光蛋白質が核に移行し,プレアポトーシス状態の検出に有効であることが明らかになった。 カスパーゼ活性化はその内在性阻害蛋白質IAPの分解によって調節されている。カスパーゼ活性化の開始はこの蛋白質の分解によって起こることからカスパーゼ活性化の初期変化を可視化するプローブとしてPRAP(Pre-apoptotoic probe detecting DIAP1 degradation)を作製した。IAP分解とSCATとの同時イメージングを行うことによって,カスパーゼ活性化シグナルの流れを微細に追跡することが可能になった。その結果,外感覚器前駆細胞の非対象分裂にDIAP1分解に依存してカスパーゼが活性化される細胞系譜と,DIAP1分解にカスパーゼ活性化が応答しない細胞系譜があることが明らかになった。
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