研究課題
(1).MMP-9ノックアウト(KO)、MMP-13 KOおよびMMP-9/13ダブルノックアウト(DKO)マウスを用いて皮膚全層欠損創を作製し、創傷治癒過程を検討した。その結果、創傷治癒は野生型マウスに比べMMP-9 KO、MMP-13 KO、MMP-9/13 DKOで顕著な遅延がみられた。野生型マウスではMMP-9とMMP-13は先導部の表皮細胞で発現しており、培養表皮細胞でこれら遺伝子発現を阻害すると表皮細胞の運動が抑制された。一方、創傷部の肉芽組織での血管新生と筋線維芽細胞の分化・増殖はMMP-13 KOとMMP-9/13 DKOマウスで低下しており、MMP-13はconnective tissue growth factorの分解によるvascular endothelial growth factor賦活化により血管新生に関わるとともに、潜在型transforming growth factor-βの活性化により線維芽細胞増殖と筋線維芽細胞分化に働いていることを明らかにした。さらに、これらのMMP KOマウスの創傷部位に遺伝子欠損したMMPやこれらMMP誘導因子であるbasic fibroblast growth factorを添加すると、創傷治癒の遅延が回復することを示した。これらのデータは、MMP-9やMMP-13がマウスの創傷治癒に重要な役割を担っていることを示すとともに、難治性皮膚潰瘍の治療にMMP-9あるいはMMP-13の補完や発現亢進が有効である可能性を示している。(2).ヒト腎癌では、ヘパラナーゼの発現が淡明細胞癌で高く、その発現レベルは癌の悪性化と正の相関を示し、生存率の指標になることを明らかにした。また、腎癌細胞株を用いたinvasion assayの実験から、ヘパラナーゼが癌細胞の浸潤に重要であることを示した。
すべて 2008
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