本研究では、原データから操作対象データへの順方向の変換fから構成的にその逆変換f'を生成する仕組みとしての双方向変換機構とその応用を扱う。この双方向変換機構では、順変換fのプログラムを記述すれば、自動的にその逆変換f'に相当するプログラムが得られるので、人手によって逆変換を記述する必要がない。逆変換のプログラムを作成することがないので、順変換と逆変換のプログラムが矛盾するといった誤りが生じることがなく、信頼性の高い変換を実現できるとともに、逆変換プログラム作成の手間が削減され、生産性が向上するといった効果が得られることになる。本研究課題の目的は、順方向の変換から構成的(自動的)にその逆変換を生成する双方向変換機構をソフトウェアの高信頼化・生産性の向上のための方法論として確立することにある。具体的な研究項目として、A:双方向変換機構の数学的基盤の確立と双方向変換言語の開発、B:双方向変換システムの開発支援環境の構築、C:ソフトウェア開発過程における双方向変換基盤の構築の3項目を設定し、平成21年度までは、小項目A1:双方向変換機構の数学的基盤の確立、小項目A2:一般的双方向変換言語の開発、小項目B1:双方向変換プログラム開発支援環境の開発、小項目B2:ビュー更新ソフトウェアのための汎用ライブラリの開発、小項目C1:特徴重視プログラミングにおける双方向変換基盤の設計、小項目C2:双方向特徴重視プログラミングシステムの開発、の研究を進めた。 平成22年度には、最終年度のとりまとめとして、国際共同研究として、コペンハーゲン大学のRobert Glueck准教授ほかの研究者と、DIKU-IST Workshop on Foundation of Softwareワークショップを開催し本研究課題の成果発表を行った。
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