研究概要 |
本年度の主な研究成果は以下のとおりである. 1.昨年度,既存の虹彩認証システムで採用されているアルゴリズムに対し,ウルフ攻撃の安全性について検討した,本年度はさらに詳細な解析を行った.その結果,より現実的な条件下でも,既存の虹彩認証システムに対するウルフ攻撃の成功確率が非常に高いことがわかった. 2.生体認証システムにおける従来の照合アルゴリズムで用いられている1対1照合に加え,さらに他の登録テンプレートとの誤一致人数を尺度とした照合アルゴリズムを提案した.提案アルゴリズムは従来アルゴリズムと比較して,ウルフ攻撃確率を低くすることができる. 3.虹彩認証の照合アルゴリズムを例にとり,理想的に安全な照合アルゴリズムと従来の照合アルゴリズムを用いて安全性と可用性の両面から評価をし,ウルフ攻撃に対して安全な照合アルゴリズムを定義した.さらに2.で提案した照合アルゴリズムが,このフレームワーク内においてウルフ攻撃に対し安全で,かつ実現可能性の高いマッチングアルゴリズムの一つであることを示した. 4.昨年度,指静脈認証システムにおける,特徴抽出アルゴリズムのウルフ攻撃に対する安全性評価手法を提案したが,提案手法で発見できるウルフ(画像パターン)は,静脈パターンの入力センサを通過した後のウルフに限定されていた.そこで本年度は,この手法を改良して,入力センサによるノイズ付加を想定した過程を考慮した安全性評価手法を提案し,さらなる有効性の向上を図った. 5.4.で提案した手法は,特定の静脈認証アルゴリズムに対して,効率的に画像パターンが探索できる手法であった.本年度は,4.の手法を改良し,任意の認証アルゴリズムに対して効率的な探索が可能な手法を新たに提案した.
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