研究概要 |
本年度の主な研究成果は以下のとおりである. 1. 生体認証アルゴリズムに対して,探索アルゴリズムで自動的にウルフを探索し,その探索結果でウルフ攻撃に対する安全性評価を行うというアプローチで研究を行い,以下のような成果を上げた. (1) 指静脈認証アルゴリズムに,ウルフ探索アルゴリズムを実装し,ウルフ攻撃に対する安全性評価を行った結果,既存の認証システムの脆弱性を発見した. (2) 3つの指紋照合アルゴリズムを対象にウルフ探索を行い,探索結果からウルフ攻撃に耐性のあるアルゴリズムとそうでないものの判別に成功した. 2. 生体認証システムにおける従来の照合アルゴリズムを利用することで,従来法よりウルフ攻撃確率を抑える照合アルゴリズみを提案し,ウルフ攻撃に対する安全性を理論的に示すことができた.さらに虹彩認証と指紋認証の2つの認証システムにおいて,従来の照合アルゴリズムと提案アルゴリズムの安全性と可用性の比較を行った結果,提案アルゴリズムは従来アルゴリズムと同程度の精度,及び処理時間を保ちつつ,ウルフ攻撃確率を大幅に減少することができる,安全性と可用性の高い照合アルゴリズムであることが示された. 3. IDを埋め込んだタグとリーダ間で無線通信を介して認証を行うRFIDシステムに対して,利用者のプライバシを確保しつつ,ID探索の効率化を図る方式を提案すると共に,低コストデバイスであるRFIDに適応できるようにタグ側に記憶する鍵のサイズを削減する方法を提案した.
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