研究概要 |
本研究のために必要な要素技術を大きく分けると(1)インタラクションのモデル化と設計,(2)インタラクションのためのセンシング技術,(3)教示コンテンツ蓄積,(4)教示・支援システムとしての実装,があげられる.平成22年度は,以下のようにそれぞれの項目に関する研究を進めた. (1),(4)の項目に関し,作業支援を行うための支援項日選択手法ついて,従来の推薦アルゴリズムの欠点を補う手法を提案した(投稿中).支援システムがユーザの反応を観測する際に認識誤りが発生することを考慮し,このような場合でも適切な支援項目を選ぶ能力が高いこと,例として調理支援の選択に良い性能を示すことを示した. (2),(3)の項目に関し,ユーザの意図や状態を知る手段としての筋電位計測について,下記の新しい手法を提案した.(i)意思を伝える手段としての筋電ユーザインタフェースを構築するための方法論として,EMGUIの構成手法,性能確認のためのシミュレーション手法を提案した.(ii)主動筋と拮抗筋の筋張力の関係を筋電位で計測することが,習熟する過程やその度合いを推定する一手段となることを確認した.具体的には,スティフネスと呼ばれる,外部(トルク)に現れない筋緊張が,習熟して余分な力を使わなくなるにつれて小さくなることを利用する.(iii)疲労によって,筋電位の周波数が変るだけでなく,複数の筋肉の協調関係が変わることを確認し,種々の面から疲労を知ることが手がかりとなることを示した.(iv)ウェアラブルなセンサで筋電位計測を行うシステム構築を進め,導電布で作られた服上での2次元通信や無線通信を用いたデバイスの構築及び性能確認を行った.(v)筋電情報を音で伝えるための基礎的検討を行い,生体情報を伝えるコミュニケーション手段となることを確認した.(vi)筋電と画像センシングなどの外部センサとの協調により,人間の行動予測が従来よりも精度良く行うことが可能であることを示した.(vii)その他,戸惑い等の計測等,種々の可能性について確認した.
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