研究概要 |
1.ドッキング・プロトコルの検討 ドッキング計算にかかる時間を短縮し、かつドッキング精度を可能な限り維持するためのドッキング・プロトコルの検討を行った。ソフトウェアはASEDockを用いた。その結果、高質な59個のタンパク質-低分子複合体結晶構造(J. Chem. Inf. Model.,48,583(2008))を用いたリドッキングにおいて80%のリガンド分子の原子位置をrmsd<2.0Åで再現できるプロトコルを見出した。また今年度の終盤では、ドッキング・ソフトウェアを改良して、速度を上昇させることができた。 2.concavity(タンパク質表面の窪み)と医薬分子の適合性の解析 医薬分子の結合に適したconcavityを選択するPLB法を更に改良して、能率的で精度の高い選択法を開発した。この方法を使うことにより、上記高質のX線構造の場合、2番目までのconcavityを考慮することで、すべての複合体中のリガンド結合部位を見出すことができるようになった。 3.炭水化物の代謝に関するタンパク質と既存医薬分子との相互作用解析 KEGG(http://www.genome.ad.jp/kegg/)に登録されているタンパク質の内、炭水化物の代謝に関係しているタンパク質を抽出した。それらの内、ヒト由来の55種類のタンパク質のX線解析データをProtein Data Bankから得た。現在国内で使用されている997種の医薬分子とこれらのタンパク質の結合性を上記の条件を用いてドッキング計算によりin silico解析した。計算漏れ防ぐために、PLB指数の高い2個以上のconcavityを計算に含めた。
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