現在国内で使用されている医薬分子はおおよそ1000種類ほどあり、これらの分子は有用な薬理活性を示すと共に、副作用も有している。これら典型的な医薬分子がそれらの標的分子を含めて、生体内の種々のタンパク質とどのように相互作用するかを知ることは非常に重要である。そうした知見は新たな医薬分子の発見に有用なだけではなく、医薬分子の副作用や機能未知のタンパク質の機能を理解する上でも、非常に重要である。 しかし、これらの相互作用をウェット実験で測定することは、経済的にもまた時間的にも事実上不可能である。本研究課題の最終目的は、これらの相互作用をin silico解析によって求めることである。本研究においては、X線解析で立体構造が明らかになっているヒト由来の重要なタンパク質と現在日本国内で使用されている医薬分子との相互作用を主にドッキング・シミュレーションで解析する。この目的を達成するために、新しい方法論の研究および開発も併せて行う。
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